青空文庫:「ゲテ魚好き」火野葦平
芥川賞を受賞した「糞尿譚」や自身も従軍体験を語った「麦と兵隊」で知られる昭和の作家、火野葦平による釣りエッセイ。初出は1959年に刊行された「随筆釣自慢」。
フグ、イイダコ、ドンコ釣りについて述べた、特に変わったことのない釣りエッセイ。フグをゲテ魚扱いしているのは、現在だとかなり違和感を感じる。文中で普通に自分で捌いて食ったというような記述があるのに驚いたが、調べてみるとフグの調理師免許は1948年に大阪府が制定したのが始まりで、1959年当時は釣ったフグを自分で捌くのも別段珍しいことではなかったのかもしれない。ここらへん、生まれる10年も前の話なので感覚が判らない。
エッセイの後半に出てくるドンコには火野葦平は相当に愛着があるらしく、東京の自宅を「鈍魚庵」と称するほどだったらしい。ちなみに福岡の自宅は「河伯洞」と名づけており、こちらの河伯はいわゆる河童のこと。火野葦平の河童好きは有名だけれど、ドンコも同じくらい好きだったということか。
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