2013/12/19

青空読書 04「南予枇杷行」河東碧梧桐

青空文庫:「南予枇杷行」河東碧梧桐

今回は河東碧梧桐が1929年に書いた紀行文「南予枇杷行」を読んでみた。初出は不明、青空文庫って底本は必ず記載されているけど、初出の記載がないのが結構多いのが残念。「南予」って何処?と思ったら四国は愛媛県南部のことで宇和島市や大洲市あたりの地域を指すとのこと。タイトルは「なんよびわこう」という読み方で良いのかな。作者の河東碧梧桐は俳人で正岡子規の弟子、同門の高浜虚子と並び称される人物だが作風は正反対で自由律俳句で知られる人。

その昔、飼っていた3匹の猫の一匹にこの有名な俳人に因んで「河東碧梧桐」と名前を付けていた。因んでというかまんまだが。しかし長いのでそのうち略して「ヘキ」ないし「ヘキちゃん」と呼ぶようになった。ちなみに後の二匹はメス猫で「樋口一葉」と「平塚らいてう」と名づけた。こちらもじき「いっちゃん」と「らいちゃん」と呼ぶようになってしまったが。3匹とも今はもういない。

閑話休題。

「南予枇杷行」だが、紀行文ではあるのだが内容的には名産品や景勝地、地元の伝承や出身の著名人(中江藤樹という人だが知らなかった)の説明がほとんどで紀行文というより観光ガイドのような内容。読みやすくはあるけど、読んでそう面白いものではなかった。青空文庫で唯一公開されている河東碧梧桐の作品がこれなのだが、何でこの作品?という気がしないでもない。

冒頭の一節

一つの山にさきさかつてゐる栗の花、成程、秋になるとよくこゝから栗を送つてくる。疾走する車の中でも、ある腋臭を思はせる鼻腔をそゝる臭ひがする。栗の花のにほひは、山中にあつてのジャズ臭、性慾象徴臭、などであらう。

というのがちょっとおもしろい。

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