2013/12/20

青空読書 05「疵」小林多喜二

青空文庫:「疵」小林多喜二

プロレタリア文学を代表する作家、小林多喜二の短編「疵」を読んでみた。初出は「帝国大学新聞」の1931年11月23日号。

娘が左翼運動で刑務所に入れられたことから「モップル(赤色救援会)」(Wikipedia によると「革命運動家の救援活動を行う人権団体」だそうだ)に入会した母親の自己紹介の話。当初、娘の行動をよく理解せず、スパイにやってきた警官にお茶など出したりしていた母親が、警察から帰ってきた娘といった銭湯で見た娘の裸から酷い暴行を受けていたことを知り、自身も左翼運動に加担することになったと皆に説明する。

母親の語り口が自虐的な笑いで自己反省するスタイルで、そこに妙なリアリズムを感じる。娘の裸を見て権力の横暴を知る場面などはプロレタリア文学特有のエログロ嗜好。

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