2014/01/17

青空読書 09 「婦人雑誌と猫」山本宣治

青空文庫:「婦人雑誌と猫」山本宣治

戦前の政治家「山宣」こと山本宣治のエッセイ。初出は不明。産児制限や性教育に関する活動で知られ、「自慰」という言葉を広めたのも山本宣治。

内容はイギリスの性科学者、著書「性の心理」で知られるハヴェロック・エリス(Havelock Ellis)の著書「随想録」の記述を元ネタに当時の日本の世相を語るというもの。戦前の話ではあるが語られている内容は現代でも通じるものがある。語られている内容は軽佻浮薄な女性誌から女性と社会の関わりについて、猫が引き起こした停電事件から発達したシステムの脆弱性がもたらす危機についての2つ。

エリスのいう

今や人の家は彼の城郭でない、あらゆる低能児、あらゆる無茶者が彼の死命を左右する。一寸触れゝばすぐ歯車を外せる様な華奢な仕掛のからくりで、彼の生活が調節されて居るのだ。文明ほどこはれ易いものは外に又とない。如何に高度の文明でも、それが面して居る多種多様の危険に対して、終り迄頑張り続けた例は無い。今日腕白小僧の様な大人は誰でも、社会に対して『俺のほしがつて居る飴ん棒をくれ、くれなけれやお前の生活が辛抱出来ぬ程ひどい目にあはしてやるから』といふ事が出来る、して又其いふ通り暫くは其腕白の為に、我々の人生が耐へ難いものにされるのだ

などはまったく現代の日本の状況そのままという気がしないでもない。


Wikipedia : 山本宣治 / ハヴロック・エリス

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