2014/02/04

青空読書 11 「三角と四角」巖谷小波

青空文庫「三角と四角」巖谷小波

明治から大正期にかけての児童文学作家、巖谷小波が博文館の雑誌「幼年雑誌」1894年10月号に発表した童話。

幼児に向けて幾何学の学習を目的にした童話だが、登場人物が皆文房具という筒井康隆の「虚航船団」を思い出させる内容(もちろん本作の方が発表時期はうんと早いが)。尖った角を持つことが自慢の三角定規が、自分より角が一つ多い画板に嫉妬し、ついには画板の四隅の角を切り落としてしまうが、そこには意外なというか幾何学的には至極まっとうなオチが待っているというお話。今となっては古めかしい語り口のリズムが楽しい。ラスト「とうとう兜かぶとを脱いで降参しましたとわ、身のほど知らぬ大白痴おおたわけ。」というスパーンと切ったような感じも良い。

0 件のコメント:

コメントを投稿