2014/02/05

「SHORT PEACE」 2013

SHORT PEACE スペシャルエディション [Blu-ray]
バンダイビジュアル (2014-01-16)
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2013年に公開された日本のアニメーション作品。

大友克洋「火要鎮」、森田修平「九十九」、安藤裕章「GAMBO」、カトキハジメ「武器よさらば」の短編アニメーション4本に、森本晃司によるオープニング映像を付したオムニバス作品。

「オープニング」森本晃司

元「STUDIO 4℃」所属で「音響生命体ノイズマン」や「彼女の想いで MAGNETIC ROSE」などで知られる森本晃司のオープニングは「不思議の国のアリス」をモチーフにしたイメージ映像で、いかにも森本晃司といった感じ。

「火要鎮」大友克洋

記憶が定かではないけど大友克洋の同名の短編作品があって一応それが原作ということになるんだろうか?親の決めた結婚を前に火消しに憧れる隣の家の息子への想いを断ち切れない娘が火事を起こすという話。

主人公の娘を描く前半は絵巻(オープニングはそのまんま絵巻だ)などによく見られる斜め上からの遠近法を用いない鳥観アングルを多用したり、人物の描写も美人画を思わせるものだったり日本画を強く意識した画面づくりが独特の雰囲気を作り上げている。着物の表現とか地味な展開だけど映像的には目を見張るものがある。後半は一転して大火事とそれに対処する火消しの活躍を描くスペクタクル。映像表現はこちらも素晴らしく江戸の町中を逃げ惑う町民を掻き分けてて進む火消したちのモブシーンとか圧倒されるが、それ以外に、きちんと取材したという江戸時代の火消したちの仕事ぶりがなんとも興味深い。

「九十九」森田修平

森田修平は短編アニメーション作品「KAKURENBO」を作った人。突然の豪雨で山中で見つけた祠に逃げ込んだ男が付喪神に会うという典型的な怪談話。

他の作品とは異なり全編フルCGで作成されており、個人的にはそのCG臭?がどうにも気になった。なんか「ドラクエ8」っぽいというか、アニメーション映画を見ているというより、ゲームの画面を見ているような気がしてしまった。

ストーリー原案と付喪神などのデザインに造形作家の岸啓介が参加してる。

「GAMBO」安藤裕章

安藤裕章は大友克洋の「MEMORIES」や「STEAM BOY」でCGIを担当していた人とのこと。原案・脚本は「鮫肌男と桃尻女」や「茶の味」の石井克人、キャラクターデザインは「エヴァ」の貞本義行。

突如やってきて村を蹂躙する鬼(宇宙人であることが暗示されている)と、人身御供にされる少女の頼みを聞いた白いヒグマとの壮絶なバトルを描いたもの。物語性を極力廃し、ひたすら鬼とクマの格闘を描くというスタイルで、四作の中では一番好き嫌いが分かれそうな作品。個人的には一番好き。鬼の圧倒的な暴力性の描写が素晴らしい。筒井康隆の短編「死にかた」に出てくる鬼はきっとこんな感じだったんじゃないかと思った。

「武器よさらば」

ガンダムなどのメカニックデザインで知られるカトキハジメの初監督作品で良いのかな? 原作は大友克洋の同名短編。他3作が過去の日本を舞台にした作品なのに対して、本作だけは近未来の荒廃した日本が舞台のSF戦争ものでかなり浮いている印象。物語展開はほぼ原作に忠実ながら登場するプロテクタースーツや無人戦車などのデザインは現代的にリファイン(ここらへんはカトキハジメの真骨頂)、映像表現も今どきの戦争映画風。プロテクタースーツvs無人戦車の戦闘は文句なしに格好良い、流石に良く心得ているという感じ。ただ洗練されすぎて、原作どおりのあのオチがちょっと浮いてる感じがしないでもない。

キャラクターデザインはCANNABISこと田中達之。

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